あらすじ
【あらすじ】
「死体は、世界で最も誠実な記録媒体だ」
魔王を討ち倒し、王都へ凱旋した人類の英雄たち。
地上が歓喜に沸くなか、地下霊安室に運び込まれた勇者レオンの遺体には、公式発表と決定的に矛盾する痕跡が刻まれていた。
致命傷は胸部ではなく、無防備な背中。
筋肉を断ち切っていたのは魔王の凶刃ではなく――凱旋パレードで民衆に手を振る仲間たち(聖女・魔導士・重騎士)の固有魔術痕だった。
死者の傷から受傷直前の物理状況を視覚化する下級検死魔術師ジルは、その場で裏切りの全貌を看破する。
自らの責務を全うすべきか。
葛藤の最中に恩師の言葉が甦り、自分の生きる意味を認識し、真実を羊皮紙に書き留めた。
だが、振り返った背後には、冷酷な笑みを浮かべた英雄たちの姿があった。
「カルテを書き換えるか、首を落とし遺体を傷つけた狂人の濡れ衣を着て死ぬか、選びなさい」
ジルは偽りの記録を拒絶し、真実のカルテと証拠品を抱えて奈落の汚水路へと身を投じる。
追っ手は国家の最高戦力。味方は、同じく反逆の罪を着せられた無口な脱走騎士の少女だけ。
どれほど権力で塗り固めようと、肉体に刻まれた傷痕は消せない。
知ってはいけない真実を知ってしまった下級鑑定士が、遺体の傷痕という武器と、無口な相棒を連れて、偽りの英雄たちを告発する、逃走×死因鑑定サスペンス!