あらすじ
彼氏に振られた夜、私は一人で商店街を歩いていた。
ショーウィンドウに映る自分の目元が濡れていることに気づき、空を見上げて呟く。「月が綺麗ですね」——その言葉に応えるように、影の中からウサギが現れた。
「ボクは月に住んでいるウサギだよ」
「キミが望むことを一つだけ叶えてあげる」
復縁を願った私の前で、願いは叶う。けれど、戻ってきた彼と過ごす日々に、胸の奥まで光が届かない。
本当に欲しかったものは、いったい何だったのか。
月が欠け始める夜、影のウサギは静かに去っていく。
残された影と、欠けた月を見上げながら、私はようやく自分の気持ちに気づく。