あらすじ

正しい怒りだけでも、人は救えない。 明治九年冬。葦ヶ浦村で「帳簿調製・租税相談」を始めた桐生算之助と早瀬志乃のもとへ、近隣十二か村の元戸長・藤野惣吉が現れる。 彼が差し出したのは、地租を三%から二分五厘へ下げるよう求める嘆願書と、地券名義人四百二十人分の連印だった。三日後までに県が応じなければ、六百戸の村々は竹槍を手に区扱所へ押しかけるという。 「帳簿で村が救えるなら、なぜ俺たちの村は救われなかった」 地租は確かに三%。だが同時に集められる民費を足せば、農民の負担は四%になる。しかも米価は下落し、夏の洪水で売れる米も少ない。算之助が帳簿を調べるほど、一揆の怒りが数字の上でも正しいことが証明されていく。 一方、一揆の勘定帳にも、預かった税と運動資金を混ぜ、女や小作人へ同じ額を負わせる歪みがあった。 官の帳簿も、一揆の帳簿も、自分に都合のよい人間だけを数えている。そして八十七筆の田が公売になれば、失う家は八十七、買える者はただ一人。 藁火を合図と誤った群衆が暴走し、警官隊の銃口が橋を塞ぐ夜。転生税理士は、千本の竹槍を前に最後の公開監査を始める。

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小説を読もう2026/09/05
  • 現在の作品転生税理士、明治九年の一揆を監査する ~地租三%と燃える地券~