あらすじ
大陸は、三人の女王によって三分されていた。
謀略と経済を武器に国を導く、シマール国女王ベアトリクス。
圧倒的な軍事力を率い、自ら戦場に立つリーザリオ帝国女王ヴィヴィアン。
争いではなく調和を掲げ、広大な国土と民を束ねるバルティア連合女王シクラリス。
思想も、統治の方法も、目指す未来も違う三人。
互いに譲れないものを抱え、ときに手を結び、ときに刃を交えながら、大陸の覇権を巡って競い合っていく。
しかし、この物語に絶対の正義も、単純な悪も存在しない。
女王には女王の理想がある。
将軍には将軍の忠義がある。
名もなき兵士にも、商人にも、巡礼者にも、それぞれ守りたいものがある。
そして大陸の片隅にある酒場では、そんな歴史を動かす者たちとは別に、三人の人間が酒を酌み交わしていた。
戦場を知る男。
国々を渡り歩く商人。
そして、人々の間を歩き続ける巡礼者。
彼らは噂を肴に女王たちを語り、戦争を論じ、ときには好き勝手なことを言いながら、移り変わっていく大陸を眺め続ける。
やがて彼ら自身もまた、三女王が作り出す時代の奔流へと巻き込まれていくことになる。
これは三人の英雄が世界を救う物語ではない。
異なる理想を掲げた三人の女王と、その時代を生きた人々が、戦い、敗れ、選び、そして次の時代へ何かを残していく――大陸の歴史の物語。