あらすじ
「あなたにとって、正義とは何ですか?」
そんな問いかけから始まる本書は、日常の裏側に潜む「正義」の残酷さを描いた連作サスペンス集。
一人目『法を守る正義』:娘を惨殺した犯人が「心身喪失」で無罪となった。復讐に燃える父親と、親友を「殺人者」にさせないために銃を向ける警察官。法という秩序を守ることは、果たして正義なのか。
二人目『奪うための正義』:極限状態の地下シェルターで巻き起こる致死性ウイルスの流出。80人の生存者を守るため、リーダーはたった一人の幼い少女を犠牲にして扉を閉ざす。多くの命を救った男は、なぜ「冷酷な悪魔」と蔑まれるのか。
三人目『正義という名の悪』:ネット上で「無実の人間」を悪人と決めつけ、社会的に抹殺した男。正義の英雄を気取っていた彼は、ある事件をきっかけに自身が「正義の暴力」を振るう最悪の加害者だったと知る。
「法」「全体の利益」「個人的な制裁」――それぞれの立場が主張する正義は、常に誰かの悪となり、悲劇を生み出していく。
すべての物語を読み終え、最後の「あとがき」を開いたとき、読者はまえがきで投げかけられた問いの「本当の意味」を知ることになる。あなたの信じる正義は、本当に「正義」ですか?