あらすじ

十歳になった子供は、教会で銀の盆に手を入れる。 水が光れば連れて行かれ、光らなければ家に帰される。 その年に生かされるのは、百二十人だけ。 わたしの手を入れた水は、光った。 馬車の中で、いちばん小さい子が訊いた。「灰塔って、なんですか」。 御者も修道士も答えなかった。だからわたしは、橋の手前で逃げた。 追ってきた若い聖堂騎士は剣を抜かず、川と反対の方角を指して、そっちは川だ、とだけ言った。 拾われたのは、灰海の縁にある、名前を訊かない村だった。 そこでわたしは知る。認可の数は毎年変わらない。豊作の年も、凶作の年も、戦のあった年も、ずっと百二十。 盆が光った子の数と、百二十とのあいだにある差は、毎年どこかへ行っている。 これは、その差の行き先を知ってしまった子供の話。 そしていつか、この世界の魔法にもう残りが少ないことを、たったひとりで知ることになる子供の話。 ――体に術を刻めば強くなれる。刻めるのは七つまで。 七つ刻んだ者は、十年で全身が石になる。

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カクヨム
カクヨム2026/09/04
  • 現在の作品『百二十一人目』 ~魔力を持って生まれた子〜