あらすじ
【猛毒――廃棄可能】
「ゴミを捨てるだけ」と笑われたFランクスキル《廃棄》が、最初に捨てたものは――人を殺す猛毒だった。
伯爵家の次男レオンは、十五歳の《祝福の儀》で最低評価Fランクの固有スキル《廃棄》を授かる。
《不要なものを廃棄する》。
ただそれだけの能力だと判断され、「家にとって価値がない」と、その日のうちに勘当されてしまった。
家名も居場所も失い、荒れ果てた辺境《灰境グレイヴ》へ向かったレオン。しかし旅の途中、毒蜘蛛に噛まれ、死を覚悟した瞬間――初めて《廃棄》が本当の力を見せる。
【猛毒――廃棄可能】
身体を蝕んでいた毒は、一瞬で消えた。
だが、その直後。
【廃棄処理完了】
【転送先:■■■■】
「……転送先?」
《廃棄》したものは、本当に消えているのか。
やがてレオンは、辺境に捨てられていた一つの廃村へ辿り着く。
汚れた水を蘇らせ、荒れた土地を直し、自分と同じように行き場を失った者たちを迎え入れながら、誰にも奪われない「帰る場所」を作っていく。
捨てられるのは、毒だけではない。
呪いも、汚染も――この世界にとっての「不要なもの」さえも。
けれど、レオンはまだ知らない。
世界が何千年もの間、捨て続けてきたものの“行き先”を。
これは、“いらない人間”として捨てられた少年が、自分たちの帰る場所を作り――やがて世界そのものの《廃棄》と向き合う物語。