あらすじ
『君と僕が統べる夜』――あらすじ
世界から「朝」が消えて、百年。
太陽の代わりに空を照らすのは、満ちることも欠けることもない巨大な銀色の月。
人々は永遠に続く夜を《永夜》と呼び、巨大な壁都市《ノクティス》に閉じこもって暮らしていた。
夜が深くなるほど、人間の影から生まれる怪物――《夜獣》。
それらを狩る《夜狩士》によって、人類はかろうじて生き延びていた。
そんな世界で暮らす少年、黒瀬ヨル。
十六歳の彼は、夜狩士養成学院に通う落ちこぼれだった。
戦う力もなく、武器も古びたナイフ一本。
誰からも期待されない少年だった。
しかし、ヨルには誰にも知られていない秘密があった。
彼の影には――誰にも見えない《王冠》が浮かんでいた。
ある日、実技試験中に夜獣に襲われたヨルを救ったのは、銀色の髪と赤い瞳を持つ天才夜狩士、月城アリスだった。
そしてアリスは、ヨルの影に浮かぶ王冠を見つける。
それは、百年前に永夜を生み出したと伝えられる存在――《夜王》の証だった。
やがてヨルは、自らの影に宿る謎の存在《クロノス》と出会う。
そして知ることになる。
自分がただの落ちこぼれではなく、《夜王の器》を持つ存在であることを。
さらにアリスもまた、かつて夜王と共に戦った《月姫》の血を継ぐ者だった。
夜と月。
本来交わるはずのなかった二つの力が、二人の契約によって一つになる。
だが、二人を待っていたのは、夜王復活を企む《夜教団》、そして百年前に隠された世界の真実だった。
永夜を生み出したのは、本当に夜王なのか。
なぜヨルとアリスは、百年前の夜王と月姫として生きていたのか。
そして、世界から朝を奪った本当の存在――《暁神》とは何者なのか。
やがて二人は、夜と月の力を合わせ、《終夜月蝕》によって暁神と対峙する。
しかし、戦いの後に待っていたのは、新たな謎だった。
――世界には、二人の王だけではない。
地下深くに封印された扉。
その向こうで目覚める、赤い瞳。
そして響く声。
『王は、目覚めた』
『月も、目覚めた』
『ならば――第三の鍵を、起こせ』
永遠に続くと思われた夜の中で、少年と少女は運命に立ち向かう。
これは、夜王になる少年と、月を継ぐ少女が出会い、
誰かを犠牲にすることでしか終わらない世界の運命を覆す――
「君」と「僕」が、夜そのものを統べる物語。