あらすじ
十八歳のエリアーヌは、幼馴染の騎士アルドリックから銀貨一枚と押し花を預かり、「十年後に迎えに来る」と告げられた。便りのない十年を待つ代わりに、彼女は銀貨を元手に働き、子どもたちの学校を育てる。凱旋した彼が当然のように婚約を求めた日、エリアーヌは思い出を否定せず、帳簿を開いた――返すのは、押し花と十年分の利息まで。過去の約束に現在を明け渡さない彼女が選ぶのは、毎年契約を結び直し、同じ仕事を積み上げてきた会計官テオだった。彼の帰還後には退役兵の学び直しも始まり、返した利息が次の人生を照らしていく。初恋を美しいまま終え、自分から新しい未来を申し込む、静かな再出発の恋物語。