あらすじ
この世界に、神は本当にいるのだろうか。
傷を癒やし、失われた手足さえ元に戻す「神聖魔法」。
人々はそれを神より授けられた奇跡と呼び、その奇跡を受け継ぐ神殿を信じていた。
アイン・モンターニュもまた、そんな世界に生きる一人だった。
九歳で大魔法学術院へ入学し、やがて首席にまで上り詰めた青年。
「神の子」「奇跡の子」と称えられ、誰もがその才能と未来に期待を寄せる一方、本人にとってそれは代わり映えのしない退屈な日常でしかなかった。
そんな日常は、神の山――聖峰エルデの噴火によって崩れ去る。
王都を襲った未曾有の大災害。
そしてアインは、誰よりも神を信じ、神聖魔法さえ授かっていた実の母カミナを失う。
神を信じた母は、なぜ死んだのか。
人を救う「神の奇跡」は、本当に神殿が語るようなものなのか。
そして、母が遺した謎の言葉――「ララ・フローデ」。
答えを求め始めたアインは、神聖魔法と神殿の歴史、そしてこの世界に隠されたものへと少しずつ足を踏み入れていく。
神が本当にいるのなら――
どうして俺はこうなった?
神と奇跡をめぐる一つの疑問が、やがて神殿を、王国を、そして世界そのものを巻き込んでいく。
信仰と魔法、その狭間で「神」を問い続ける長編ダークファンタジー。