あらすじ
歴史好きの現代人が目を覚ますと、そこは源平合戦によく似た歴史をたどる、剣と術の異世界だった。
しかも自分の名は九郎。
父は義朝。
兄は頼朝。
どう考えても、俺、源義経じゃないか!
義経の末路を知る主人公は、たったひとつの目標を掲げる。
今度こそ、生き残る。
兄には逆らわない。
勝手に官位も受けない。
戦功も欲しがらない。
平家との戦にも、できるだけ関わらない。
そして何より、史実通りの道を進まない。
そのはずだった。
奥州へ行かないと決めれば、なぜか奥州へ。
戦場に出ないと決めれば、なぜか大軍を率いることに。
目立たないように戦えば、なぜか英雄として名が広がっていく。
分岐点でことごとく違う選択をしているはずなのに、歴史は別の道から主人公を“義経の運命”へと追い込んでいく。
弁慶、静、義仲、景時、秀衡――。
史実の義経に関わった人物たちに相当する者たちと出会い、戦い、助けられ、ときに運命を変えながら、主人公は必死に未来へ抗っていく。
だが彼はまだ知らない。
自分を追い詰める兄、頼朝に相当する男もまた、同じく前世の記憶を持つ転生者であることを。
義経の死を知る弟。
義経を死なせた歴史を知る兄。
二人とも歴史を変えようとしていた。
それなのに、なぜ兄弟は再び敵同士になろうとしているのか。
そして物語の果て、史実では義経が命を落とした地で、二人の転生者は初めて本音をぶつけ合う。
「兄上。あなたも……日本人だったんですね」
英雄になんてならなくていい。
伝説にもなりたくない。
ただ、生きたい。
これは、源義経の運命を背負ってしまった男が、知恵と仲間と選択の力で“悲劇の英雄”という結末そのものをひっくり返す、異世界源平逆転譚。