あらすじ
「穢れた狐憑きの令嬢よ、貴様との婚約は破棄する!」
煌びやかな夜会の広間で、王太子ジークの声が響き渡った。侯爵令嬢セイカ・フォルトナ――代々「狐憑き」と蔑まれてきた一族の娘。前世は日本の稲荷神社の娘だった彼女は、偽りの聖女の涙と王太子の断罪を前に、静かに扇を閉じた。
(狐憑き? いえ、正確には狐神の巫女ですけれど)
誰も知らない。あの忌み嫌われる青白い狐火が、この国を魔物の森からずっと守っていたことを。誰にも感謝されず、忌み嫌われながら、それでも毎晩ひとり結界を編み続けてきた日々を。
「かしこまりました。追放を、受け入れます。ただし――狐火は、私と共に去ります」
嘲笑に包まれる広間。しかし誰一人として、その言葉の本当の意味を理解してはいなかった。
甘えん坊な幼狐コンを連れ、セイカは国を去る。結界ごと。
そして辿り着いた場所で、彼女を初めて『巫女様』と呼ぶ声が――。
忌み嫌われた不吉な炎が、今、初めて祝福の光として灯る。失って初めて気づく後悔に沈む王国と、新たな道を歩み出す巫女の物語。
薄闇に灯る青白い狐火は、あなた方の、断罪の火。
痛快な追放ざまぁ×和風ファンタジー、感動の短編です。