あらすじ

「技術はあるが、見るべきものがない」。 十七歳で美術院に落ちたリーザは絵筆を折り、五年間、顔料商会の帳簿係として生きてきた。 借金の取り立てで赴いたのは、運河の街アルベーラの壁画工房。そこには、五年間自分の絵を描けない若き親方ヴィートをはじめ、癖の強い天才たちが集まっていた。 聖堂壁画の納期は四か月。ところが、使われるはずだった最高級の青、ラピスラズリ三箱が安い石へすり替えられている。 誰が、いつ、何のために青を盗んだのか。 リーザは色と材料を見る目、帳簿に残された数字、壁の湿りを手掛かりに、工房で起きる謎を解いていく。そのたび、描くことをやめたはずの手が、帳簿の余白へ再び線を引き始める。そして、彼女を一度も褒めないヴィートだけが、その捨てられた絵を黙って拾っていた。 描きたいという衝動は、才能の有無より先にある。 これは名前のなかった線を自分のものとして取り戻し、天才たちと一枚の壁画を完成させる物語。

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カクヨム
カクヨム2026/09/04
  • 現在の作品絵筆を折った私は、天才たちの壁画工房で消えた青の謎を解く~もう一度、自分の線を引くまで~