あらすじ
最初は。
ただの聞き間違いだと思った。
夜。
眠ろうとした私の耳元で。
誰かが。
小さく呟いた。
**「……ユルセナイ」**
振り返っても。
そこには誰もいない。
次の日。
学校でも。
帰り道でも。
家でも。
どこにいても。
耳元で聞こえる。
**「ユルセナイ」**
誰が。
何を。
許せないのか。
心当たりのない私は。
次第に。
周囲の人間を疑い始める。
しかし。
声は日を追うごとに。
少しずつ。
大きくなっていく。
そして。
ある夜。
ついに耳元で響いた。
聞いたこともないほど。
大きな。
叫び声。
**「ユルセナイ」**
声の主を探した私が。
最後に見つけたのは。
ずっと忘れたふりをしていた。
もう一人の。
自分だった。
これは。
耳元から聞こえる叫び声と。
忘れたはずの過去に追い詰められていく。
一人の少女の物語。
**――『ミミモトノサケビゴエ』**