あらすじ
「なぜだ! 死刑を増やしたのに、なぜ前より治安が悪化し、死者が増えるのだ!?」
荒れ果てた王都の惨状を前に、国王と貴族たちは愕然としていた。
重罰にすれば犯罪者は恐れをなすはずだった。しかし現実は、窃盗犯までが「どうせ捕まれば死刑だ」と凶悪化し、目撃者を皆殺しにする地獄と化していた。
王宮の誰もが答えを出せない中、元刑務官の転生者キョウヤが静かに口を開く。
「簡単な理屈です。パンを盗んでも死刑、人を殺しても死刑なら、逃亡のために目撃者を殺すのが最も合理的だからです」
愕然とする一同に、キョウヤは罪の重さに応じた刑罰の段階化、執行猶予、職業訓練、そして被害者への損害賠償制度を突きつける。
「犯罪者を甘やかす気か!」
反対する財務卿に対し、キョウヤが示したのは人情ではない。死刑を恐れて抵抗する容疑者を捕らえるために失われた命、焼かれた店舗、膨大な公費を記した損害計算書だった。
そして半年後。
再犯の激減、強盗殺人八割減、牢獄の経常収支黒字という結果を携え、キョウヤは再び御前会議へ戻ってくる。
人道的に見える改革の正体は、冷徹な国益計算。
だが、その計算は被害者への賠償と、罪人が生き直す道を同時に取り戻していく。
中世の極端な重罰制度を現代の知恵で鮮やかにひっくり返す、痛快国家再建ストーリー!