あらすじ
「奥様、この屋敷から出ていってください。これからは私が女主人です」
六年間、公爵夫人として夫と屋敷を支えてきたアマリス。
ある雨の夜、夫コンラートは愛人ロジーヌを連れ帰り、離縁と退去を告げた。
けれど二人は、たった一つ大事なことを知らない。
菩提樹館は、アマリスが婚姻前の持参金で買った、彼女だけの屋敷だった。
「出ていくのは、わたくしではありません」
家令も使用人も、従うのは爵位ではなく正当な所有者。
アマリスは愛人の荷物を門外へ戻し、夫の信用払いを止め、奪われていた部屋も暮らしも、自分の手へ取り戻していく。
そんな彼女を以前から見守っていた王弟ルドヴィクは、身分や力で救いを押しつけない。
「あなたは、どうしたいのですか」
彼女の答えを待ち、屋敷の門前で許可を得てから、一歩ずつ隣へ近づいてくる。
妻の財産で愛人を飾ろうとした元夫には、皆の前で痛快なざまぁを。
自分の家も名前も選択も守り抜いた彼女には、その権利まで大切にする誠実な溺愛を。
屋敷と人生を取り戻す、三十三歳の元公爵夫人の離縁逆転ラブストーリー。