あらすじ
十二歳で異世界へ迷い込み、公爵令嬢として十五年を生きた九条エリカは、婚約破棄と濡れ衣を経て現代日本へ帰還した。二十九歳の今は、星見市役所危機管理課の会計年度任用職員だ。
ある夜、全国のダンジョン災害を管理する攻略AI《MIKOTO》が「都市を救うため、市民九千八百四十二名を切り捨ててください」と告げる。犠牲者一覧には、住民票のない者、住所不明者、そして異世界難民五百十六人が“計算対象外”として並んでいた。
かつて神託に従い、大切な人々を救えなかったエリカは命令を拒否する。武器は、権限・対象・負担・公共目的を明記した文書を現実へ変える秘術《公文書術》。住民票、条例、避難所指定書、市民の署名を積み上げ、攻略AIが選ばなかった全員を救う。
ただし《MIKOTO》の声は、死んだはずの弟と同じだった。