あらすじ
五月上旬。
都内のマンションで、一人暮らしの女性・三浦杏奈の遺体が発見された。
室内には強い死臭が漂い、遺体の顔や腹部は大きく損傷している。
寝室では、彼女が飼っていた五匹の猫も死んでいた。
飼い主の死後、飢えた猫が遺体を食べ、そのまま力尽きた──。
現場にいた誰もが、そう考えた。
ただ一人、法医解剖医・綾瀬真希を除いて。
「あれだけ遺体を食べたくせに、全員酷く痩せ細っている」
猫の死体。
遺体に残された食害痕。
施錠された部屋。
一見すると何の関係もない小さな違和感を拾い上げ、綾瀬は死者の身体に残された痕跡を読み解いていく。
一方、刑事・御上純也は、『やっさん』こと矢崎警部補による近隣住民への聞き込みから、奇妙な証言を掴む。
一ヶ月前、突然聞こえなくなった猫の鳴き声。
そして二週間前、再び聞こえ始めたその声。
これは、ただの孤独死なのか。
それとも──。
死者は喋らない。
けれど、その身体には必ず何かが残されている。
法医解剖医・綾瀬真希と刑事・御上純也が、死体に残された小さな違和感から事件の真相を追う、法医学ミステリー