あらすじ
侯爵令嬢エレノア・フィルディングは、何よりもパンが好きだった。焼きたての香りを楽しみ、気になるパン屋があれば足を運び、「パンの中にチーズを入れたらおいしいのでは?」なんてことを真剣に考えてしまうほどに。
けれど婚約者のアルベルトにとって、そんな彼女の趣味は子供じみたものにしか見えなかった。「もう十八だろう。そろそろ卒業したほうがいい」――結婚するためなら仕方がない。そう考えたエレノアは、大好きだったパンを少しずつ我慢するようになる。
ところが半年後、アルベルトから告げられたのは婚約解消だった。それでも彼は、パンを完全に諦めるのなら婚約を続けてもいいと言う。
八年間の婚約と、大好きなパン。どちらか一つしか選べないのなら、エレノアの答えは決まっていた。