あらすじ

「毒見なんて、口に入れて飲み込むだけだろう」 夜会の真ん中で、王太子オルテンスはセリアとの婚約を破棄し、ついでに十年務めた毒見役の任も解いた。代わりを買って出たのは、殿下の想い人ネリー。 「私、平気です。怖くないですから」 セリアは何も言い返さず、職務規定どおりに引き継ぎ書を作った。四十二枚。 毒見役は、毒を飲む仕事ではない。十歳から十年かけて身体に耐性を作り、舌一枚で毒を見分けられるようにする仕事だ。その代償に、セリアは甘いも塩辛いも分からなくなっている。 最後の一枚には、こう書いた。『引き継ぎ不能事項』——と。 殿下はその四十二枚を、目の前で裂いた。 三日後、王太子の皿に毒が入る。 規定どおりに書類を置いていっただけの令嬢と、十年ぶりのひと口の話。

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小説を読もう2026/09/04
  • 現在の作品「毒見なんて誰にでもできる」と婚約を破棄されましたので、十年分の引き継ぎ書をお渡しして辞めました――その舌は、十年かけないと作れません