あらすじ

『名前のない母』 ジャンル:ダークファンタジー × ファンタジーミステリー × 家族ドラマ 「この町では、死んだ人の名前を言ってはいけない」 それが、この町で暮らす人々の唯一の決まりだった。 十七歳の少女・ユナは、五年前に母・ミレアを亡くしている。 けれど―― ある夜、止まっていた時計塔の時計が、五年ぶりに動き出した。 時刻は、六時十三分。 母が死んだ、その時刻だった。 そして時計塔から聞こえてきたのは、もう二度と聞けないはずの母の声。 「――ユナ。どうして、私の名前を呼んだの?」 翌朝。 町の人々は、母の存在を忘れていた。 写真からも。 記録からも。 墓石からも。 そして、母の名前そのものが、この世界から消え始めていた。 母を取り戻すため、ユナが辿り着いたのは地下に存在する謎の店――「名前屋」。 そこでは、人々が自分の名前と記憶を交換していた。 しかし。 母の名前を取り戻すために必要なのは、ユナ自身の大切な記憶だった。 さらにユナは、そこで自分と瓜二つの少女に出会う。 「私も、ユナだよ」 彼女は、ユナが五年前に失った記憶。 そして―― 死んだはずの、もう一人のユナだった。 なぜ母は名前を捨てたのか。 なぜ同じ名前の少女が二人存在するのか。 なぜ時計は五年間、六時十三分で止まっていたのか。 そして。 名前を持たない少年・アオが、母の名前を守り続けていた理由とは――。 やがてユナは知る。 この町で起きていたすべての出来事は、 「誰かを生かすために、誰かを忘れる」 という、たった一つの選択から始まっていたことを。 これは。 母を取り戻すために始まった少女が、 母を失ったままでも、生きていける未来を見つける物語。 名前は、人を縛るものではない。 記憶は、忘れてはいけないものでもない。 そして愛は―― その人がいなくなったあとも、残り続ける。 ――これは、名前を失った母と。 ――母の名前を呼び続けた娘の。 最後の家族の物語

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カクヨム
カクヨム2026/09/03
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