あらすじ
弟が、人を殺した。
妹を傷つけた男たちを殺し、自ら警察へ出頭した。
その事件を境に、一ノ瀬透真の家族は壊れていった。
母を失い、父と妹から離れ、弟とも会わなくなった透真は、
東京で人との関わりを避けるように生きていた。
そんな彼が出会ったのは、
社会現象となったフルダイブVRMMO〈EIDOS〉。
そこではプレイヤーが用意された“キャラクター”を操作するのではない。
その世界に生きる一人の住人として、人生そのものを与えられる。
透真が目を覚ましたとき、
彼に与えられていたのは英雄でも、勇者でもなかった。
魔王の息子、
アルヴェリオン・ノクス・ディアボル・レグナート。
人間にとって倒すべき敵。
物語の中では、悪とされる側の存在だった。
けれど、魔族にも家族がいる。
守りたいものがあり、恐怖があり、正義がある。
人間には人間の正義がある。
魔族には魔族の正義がある。
そして現実世界には、かつて家族を守るため人を殺した弟がいる。
正しいとは何か。
悪とは誰が決めるのか。
家族を守るためなら、どこまで許されるのか。
これは、
壊れてしまった一つの家族と、
二つの世界を巡る物語。
見る側が変われば、世界の意味も変わる。
『ヴァースペクティヴ』