あらすじ
「仕事を辞めないなら、君とは結婚できない」
十一年間の婚約を解消された夜、王立魔導事故調査局の調査官エレナ・クロフォードの目の前で、王宮の巨大な魔導シャンデリアが落下した。
整備不良による事故――そう思われた現場で、エレナは壊れた魔導具に残された不自然な「残響」を発見する。
エレナには、魔導具の導路に残った過去の魔力の痕跡を見る特殊な力「残響視」があった。
だが、残響が教えてくれるのは真実そのものではない。
現場に残された部品、整備記録、術式、証言。
それらを一つずつ調べ、事故が起きた本当の原因を突き止めることこそ、彼女の仕事だった。
王宮のシャンデリア落下事故。
新築邸宅で起きた一家の集団昏倒。
雨の夜に橋から転落した魔導郵便馬車。
魔法学校で起きた爆発事故――。
一見まったく関係のない事故を調べるうち、エレナは奇妙な共通点に気づいていく。
そして、その先に浮かび上がったのは、二十年前に起きた大事故と、かつて事故調査官だった亡き父の名前だった。
「私が知りたいのは、誰が悪いかではありません。なぜ起きたかです」
婚約を失っても、仕事は辞めない。
人命を最優先する救助隊長レオンと時に衝突し、時に協力しながら、エレナは壊れた魔導具が残した痕跡から事故の真相を追っていく。
これは、魔法が人々の暮らしを支える王国で起きる事故を解き明かし、同じ悲劇を二度と起こさないために働く、一人の魔法事故調査官の物語。