あらすじ
ある日、家に帰ったら全てが無くなっていた——。
幼い妹とともに叔母夫婦のもとで暮らす少年、上代 夕貴。ある日、忽然と姿を消した妹を探すため、彼は手掛かりを求めて危険な信仰宗教団体、幸福の風へと足を踏み入れる。しかし、それは長く暗い夜の始まりだった……。
異常な熱気と狂おしいまでの信仰、そして、際限を知らない人の欲。
元婚約者を助け出すため、夕貴と協力する美少年、雨宮 薔。彼とともに信者を装って幸福の風に侵入した夕貴は、ある出来事によって信者たちに捕まってしまう。それと同時に、薔に雇われた私立探偵、終夜 薫も動き出し……。やがて、彼らの人生は絡み合い、静かに破滅へと向かっていく。
——僕は終夜から借りたライターを差し出して静かに問いかけた。
「……地獄に堕ちるかもよ?」
「いい!!!」
夕貴が僕の手をライターごと掴む。
「死んだ後のことは死んでから考える!」
——果たして彼は無事に妹を助け出すことができるのか。
……そして、十三年後、一人の少女の戦いは続いていた。突然、手に入れた雨宮家の妻の立場に、雪の降りしきる旅館で繰り広げられる復讐の連鎖。全てが灰と化そうとするなか、十三年前の贖罪は意味を成すのか。
——やめようと思ってやめられる好きなら、それは最初から愛情じゃない。やめようと思ってもやめられないから、愛おしいのだ。
名家に宿る強烈な意志に運命を左右される二人の女。全てを失った、かつての少女は兄の墓前でこの世で最も憎たらしくて愛おしい男と再会を果たす。憎み、憎まれ、けれど情ゆえに憎みきれない……唯一の肉親を死に追いやった女の味方をする夫を、彼女は赦すことができるのか——。傲慢と妄執、策略渦巻く愛憎劇! そして、やっと明けた長い夜、疲れきった腕に残されたものとは——。
この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません