あらすじ
あらすじ
「ひ、ひいい……! 危ないですから、やめましょう?」
王都から辺境のポポロ村へ派遣された外交官エレナは、そこで一人の自警団員と出会った。
神谷シン、二十五歳。
気が小さく、争いを嫌い、何かあるたびに「危ないです」「止めましょう」と怯える彼を見て、エレナは最初、頼りない護衛だと思っていた。
しかし――彼には誰にも知られていない過去があった。
元・空港保安員。
元・要人警護官。
元・企業危機管理担当。
そして、射撃競技のオリンピック金メダリスト。
さらに彼は、異世界で授かったユニークスキル【シークレットサービス】によって、警護に必要な装備を瞬時に呼び出すことができる。
銃を向けられても、シンは怯えた顔のまま告げる。
「僕が敵なら、もうあなたの眉間を撃ち抜けますよ。……危ない危ない」
「この野郎! 舐めやがって!」
「い、いえ、舐めてません。本当に撃てますから……。撃ち合いになったら、必ず僕が勝ちます。勝負になりません」
そして最後に、優しく微笑む。
「だから――止めましょう?」
それはシンにとって、相手を殺したいという脅迫ではない。
自分も死にたくない。
仲間にも死んでほしくない。
敵にだって、できれば死んでほしくない。
だからこそ、誰も死なない道を最後まで探す。
それでも大切な人に危険が迫ったとき――。
臆病な男は、誰よりも冷静な警護官へと変わる。
「僕は死ぬのが怖いんです」
そう言いながら、彼はエレナの前に立つ。
「だから、あなたも死なないようにします」
守られることを知らず、一人で全てを背負ってきた令嬢。
死にたくないからこそ、誰よりも「誰かを死なせない」ことに人生を捧げてきた臆病な男。
これは、そんな二人が出会い――。
「この人のそばなら、もう強がらなくてもいい」
そう思える相手を見つける、辺境警護から始まる恋の物語。