あらすじ
あらすじ
ポポロ村で働くことになったエリナは、料理長のユリウスという青年と出会う。
氷魔法と剣術の神童として知られる彼は、実は誰よりも臆病だった。
「す、すみません……! 僕、争い事が苦手で……」
料理を出すだけでも謝り、少し怒られそうになるだけで怯えてしまう。
けれどエリナは、そんな彼が誰にでも優しく、困っている人を決して見捨てないことに気づいていく。
そんなある日、エリナは野盗に襲われてしまう。
駆けつけたユリウスは、震えながらも彼女を守るために立ち上がった。
「怖いです。……でも、その人を傷つけるのは、もっと嫌です」
次の瞬間、彼の手にあった料理用の包丁が凍りつく。
――パキパキパキ。
氷の刃は、一本のロングソードへと変わった。
普段の気弱な青年から一転。
声を荒らげることもなく、怒り狂うこともなく、ただ静かに、圧倒的な力で野盗たちを制圧していく。
戦いが終われば、またいつもの気弱なユリウスに戻ってしまう彼。
「エリナさん、怪我はありませんか!?」
「大丈夫です。でも……手、震えてますよ」
「……はい。怖かったです」
それでも彼は、怖いままエリナを守った。
自分を弱いと思っている最強の青年と、そんな彼の本当の強さを見つけた一人の女性。
これは、臆病な氷魔法剣士が、たった一人の大切な女性の前でだけ「守る騎士」になる、短い恋の物語。