あらすじ
「神に祈って川が止まるなら、土木技師はいらない」
現代日本でインフラ整備と数理モデル・生成AIの運用に携わっていた技術者は、過労死の末、魔法が存在する異世界へと転生した。
王都の宮廷水理局で技官となったアレン(俺)は、ある日決定的な真実に気づいてしまう。
――この世界の『魔法』の正体は神の奇跡なんかじゃない。確率論で現象を出力する超巨大情報処理基盤(AI)だ。
仕組みも理解せず「神よ救いたまえ」と曖昧な指示(プロンプト)を投げては災害を起こす無能な上層部に嫌気がさし、正論で治水計画を進言した結果……アレンは厄介払いとして、毎年大洪水に見舞われる最果ての地「バルツァー氾濫原」の代官へ左遷されてしまう。
そこは、暴れ川に呑まれ、街道は泥沼と化し、住民が絶望する王国最悪の寒村だった。
歴代代官が逃げ出した呪われた土地。
だが、アレンの目には全く違う景色が見えていた。
「この川を殺す必要はない。確率を計算して、水の逃げ道を作ればいいだけだ」
神頼みではなく、地形データと流体力学に基づく『プロンプト詠唱』。
完璧な正解を待たず、確率84%の勝ち筋を拾い、残りのリスクは現場の職人たちと泥臭くねじ伏せる。
遊水池、霞堤、即席の地盤硬化――。
前世の土木工学とAI魔法を掛け合わせたアレンの型破りな開拓は、やがて未曾有の大洪水を無傷で防ぎ切り、泥沼の寒村を王国最大の物流ハブ&穀倉地帯へと変貌させていく。
自然に100点の正解はない。だが、確率を味方につけた土木は奇跡を起こす。
左遷されたインフラ屋が、知恵と現場の力で世界を創り変える痛快内政サクセスファンタジー!