あらすじ
「力さえあれば、大抵のことは解決できる」
そう信じて疑わない武神・建御雷丸は、まだ人間の心を何一つ知らない。
一人前の神と認められるため、育ての親である猿田彦丸から下された試練はただ一つ——人間を九十九人、救ってくること。
「造作もない」と胸を張った武雷は、名を武雷と変えて人里へと降り立つ。だが彼の"救う"は、いつも決まって願いを叶えることであり、その手段は決まって力業。
酒蔵の跡取りを助けようとして御神体を持ち出しかけ、社寺大工の弟子を助けようとして貴重な木材を叩き割り、寿司職人の店を救おうとして山葵まみれの一貫に悶絶する——。
救うつもりが、なぜか壊してばかり。
それでも、壊れた後に見えてくるものがある。
不器用な武神と、彼を取り巻く人々の、ちょっと騒がしくて、ちょっと温かい物語。
九十九人目に辿り着くその日まで、武雷の遠回りな救済の旅は続く。