あらすじ
魔法と魔道具が人々の暮らしを支える世界。
大公家に仕える庭師、シモン・ベイカーには、ひとつだけ困ったことがあった。
彼が操れる水は、たったコップ一杯ほどしかない。
大量の水を自在に操る魔法使いがいる中で、それは決して恵まれた力とは言えなかった。
だからシモンは、その一杯を磨き続けた。
細く、速く、正確に。
誰にも真似できないほどに。
そんなシモンが仕えるのは、幼馴染でもある大公令嬢セレスティア。
植物を成長させる希少な力「緑の手」を持つ彼女は、困っている人を見ると放っておけない。
ただし、少々やりすぎる。
「少しだけですわ!」
「お嬢様。その『少しだけ』は信用しておりません」
慎重すぎる庭師と、善意で突っ走るお嬢様。
正反対のようで、なぜか息の合う二人は、やがて人々が抱えるさまざまな問題に関わっていくことになる。
大きな力だけが、誰かを救えるわけじゃない。
たったコップ一杯の水でも、
使い方次第でできることはある。
これは、小さな力を磨き続けた庭師と、
ちょっと行動力がありすぎるお嬢様の物語。