あらすじ
度重なる戦争によって、一度は滅びた世界。
数百年の歳月をかけ、人類は文明を取り戻した。
だが、人間の世界には――人を喰らう怪物が潜んでいる。
食人鬼《グール》。
人間そっくりに擬態し、人の社会に紛れて生きる、もうひとつの種族。
その中でも、誰も敵わない最強のグール――グリード。
人間を憎み、誰にも心を許さず生きてきた彼が、ある日ひとりの少女を拾った。
少女の名は、リエル。
記憶を失い、長い間閉じ込められていた彼女は、自分が何者なのかさえ知らない。
「俺の非常食になりたくなきゃ、勝手に離れるんじゃねぇ」
そう言いながらも、グリードはなぜかリエルを見捨てなかった。
人間を恐れる少女と、人間を憎む食人鬼。
本来なら決して交わるはずのない二人は、荒野を越え、辺境を旅することになる。
だが――リエルの記憶が蘇るにつれ、彼女の過去に隠された秘密が、少しずつ姿を現していく。
なぜ、彼女は閉じ込められていたのか。
なぜ、グリードは彼女を守るのか。
そして――リエルは、本当にただの少女なのか。
少女の失われた記憶を辿る旅は、やがて人類と食人鬼《グール》、そしてこの世界そのものの起源へと繋がっていく。
これは、人間と怪物。
決して交わるはずのなかった二人が、世界の片隅で出会い、互いの居場所を見つけていく物語。
――人間の世界の、そのさらに深淵。
そこには、人類よりも遥か昔からこの世界に生きていた者たちがいる。
闇に先住せし者たち。
その存在が姿を現したとき、世界の境界は静かに崩れ始める。