あらすじ
侯爵令嬢クレアは、二十七本の鍵を扉順に並べ、貸出と返却の双方へ署名を求める。その手間を、婚約者ベネディクトは「無駄でみっともない」と笑っていた。だが吹雪の夜、避難してきた領民への冬麦が十二袋足りず、十八番の倉庫鍵だけが消える。返却欄の空白、証人たちの返答、そして誰も尋ねていない隠し場所を口走る婚約者。クレアは皆の前で記録を一つずつ読み上げ、最後には彼自身の口で評価を訂正させる。そんな彼女を見つめていた隣領の公爵から、鍵束ごと望むと言われ――。家政権も求婚も、条件を書面にして選び直す令嬢のお話です。