あらすじ
【あらすじ】(注意! 結末まで書いてあります)
今度の引越し先はどこだと思う?
夜逃げ屋の運転手である僕は、リーダーのユキを助手席に乗せて、松山道を走っていた。目指すは川之江ジャンクションだ。
後続車には夜逃げの依頼人といくばくかの荷物が積まれている。
僕とユキは暇を持て余して与太話に熱中する。
二人の会話内容はこうだ。
川之江ジャンクションから先の行き先は香川県と徳島県のどちらか。
それを決める箱の中の携帯端末にはシュレディンガーの猫式の仕掛けがしてある。
そして僕らはブラックホール宇宙にすんでいる。
観測可能な大きさの宇宙の質量と、その宇宙と同じサイズの事象の地平面を持つブラックホールの質量は、計算上同じ、つまり、僕らはブラックホールの中にすんでいるとも言えるのだ。
ブラックホールの内部からは、特別な条件でない限り、情報は出てゆかない。
だとしたら、宇宙の外から僕らを観察している存在にとって、今の僕らはシュレディンガーの猫だ。
そしてそれは僕ら自身にとっても同じはずだ。
そんな僕らの会話の通り、物語りはすでに二つの方向、香川行と徳島行に分岐していた。
分岐したぞれぞれの僕らが目的地に到着し、依頼人と荷物を降ろして帰路についたとき、箱の中の携帯端末から電子音が鳴る。
その音ともに僕らを記述している波動方程式が収縮する。
僕らは渋滞に巻き込まれ、まだ川之江ジャンクションに到達できないでいた。
香川にも徳島にもいけなかったのはデコヒーレンスのなせる業だろう。
ボスからの指示で依頼人と荷物を別のチームに引き継ぎ、僕らは帰路に着く。
その車中で、夜逃げ屋リーダーのユキは言うのだ。
今度の引越し先はどこだと思う?
【解説】(ネタバレを含みます)
電子の2重スリット実験というものがあります。
たった1個の電子が2つのスリットを同時に通過するのですが、スリットで電子を捕獲すると、どちらかのスリットで1個だけ捕獲されます。
この作品でも、主人公たちは2つのルートを同時に進行しますが、2組いるわけではないのです。
そして、2つのルートで目的地に到着し、帰路についたとき、第3のルートが現れます。
第3のルートの出現は、主人公たちの進路が、箱の中の放射性物質だけでなく、周囲の環境にも影響されたことを示しています。
これが、この物語り中でのデコヒーレンスです。
これによってルートが変容し、ボスからの電話という観測行為で、重ね合わせ状態が収縮します。
この物語りは、3つ目のスリットを隠して行われた2重スリット(実は3重スリット)実験と言っていいかもしれません。
この解説を読まれたことで、この物語りへの理解が深まれば幸いです。
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【更新履歴】
2026年9月3日20時 投稿
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【AIの使用について】
この作品は、誤字脱字のチェック、推敲段階のプロットのチェックに Claude Sonnet 4.6 Max, Gemini 3.5 Flash 拡張, Chat GPT - 5.4 思考 を使用しました。
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※ pixiv でも公開しています。