あらすじ
老舗工房の筆頭傘職人ノラは、二十四本の親骨を一本ずつ叩いて確かめる「骨数え」を欠かさない。ところが幼馴染の侯爵令息フェリクスは、園遊会用の大傘を急ぐあまり、その癖を二度も人前で無駄だと言い切った。職人としても、彼の隣に立つ女としてもみっともないのだ。そう傷つきながらも、ノラは数えることをやめなかった。
そして園遊会当日、突風で大傘の下に子どもたちが取り残される。ノラは救援を待たず傘の内側へ潜り、骨の違いと外れかけた留め金を見抜いて、フェリクスたちへ指示を飛ばす。
笑われた癖が人命を救ったあと、泥の中で跪いた彼は、自らの言葉を群衆の前で言い直す。骨数えを捨てたノラではなく、捨てなかったノラを妻に望むまでのお話。