あらすじ
見られることで、自分を確かめてきた。
でも、見られなくても、影は消えない。
地図にない場所で、彼女は「いる」と決める。
――詳細――
21世紀後半。光莉は、長い旅の途中にいる。駅の待合室、錆びたホーム、名前のない集落。通り過ぎる人の視線と、自分の中に積もる熱を、ノートに残しながら歩く。
手がかりは、父が残した数字「0612」。
その意味は、まだはっきりしない。
それでも彼女は、自分の足で、自分のペースで、誰かの期待の外側へ向かう。
誰にも急かされず、誰にも求められない村で、光莉は初めて思う。
——私は、ここでいい。
『彼女の計画』のその後を描く一編であり、知らなくても一冊の旅の物語として読めます。外伝としても、独立した短編としても、入口は同じです。
そして、
『彼女の時空』をお読みの方へ。
そこにも、21世紀から“熱”を届けた、同じ名前の光莉がいます。
同じ光莉なのか。
別の物語なのか。
その答えを、ここでは決めません。
ただ、同じ名前と、どこか似た熱を持つ二つの物語を重ねてみると、遠く離れた場所に、細い線が見えてくるかもしれません。
それが「彼女の」世界を流れる、ひとつの熱なのか。
あるいは、あなたが二つの物語の間に見つけた、もうひとつの物語なのか。
その判断もまた、読者に委ねたいと思います。