あらすじ
過去の傷を抱えた青年と、行き場を失いかけた母娘。居場所を失った者たちが互いの温度を感じながら、ゆっくりと本当の「家族」になっていく物語です。
中学時代のいじめから不登校となり、社会と一定の距離を置きながらプログラマーとして静かに暮らす真人(まさと)。人と深く関わることを避けて生きてきた彼だったが、ある日の夕方、公園のベンチでポツンと一人、家の鍵をなくして震えていた小学生の少女・結子(ゆうこ)と出会う。
見過ごせずに自分の部屋へ保護し、手作りの夕食を振る舞った真人の元へ、必死の思いで駆け込んできたのは、働き詰めにより限界を迎えていた結子の母・新凪(にいな)だった。
一人で痛みを抱え込む結子の姿に昔の自分を重ねた真人は、疲れ果てた新凪の姿に胸を痛め、「困った時は遠慮しないで」と手を差し伸べる。この偶然の出会いから、静かだった真人の部屋に温かな「生活の音」が少しずつ響き始めていく——。