あらすじ
井上碧、16歳。高校二年生。
人付き合いもそれなりに得意で、将来について深く考えることもなく、幼馴染の春風雛と変わらない毎日を過ごしていた。
そんなある朝、雛から「声が少し変じゃない?」と言われる。
声が少し高い。
身体が少し細くなった気がする。
制服も、ほんの少しだけ緩い。
けれど碧は、それを寝不足や運動不足のせいだと気にも留めなかった。
その日の夜、39度を超える高熱を出すまでは。
翌朝。
目を覚ました碧の身体は、完全に少女へと変わっていた。
原因不明。
元の身体へ戻る方法もない。
昨日まで当たり前だった「男としての自分」は失われ、学校生活も、人との距離も、これから歩むはずだった人生さえも変わっていく。
そして、幼い頃からずっと隣にいた雛との関係もまた、少しずつ形を変え始める。
男と女。
友情と恋。
過去と現在。
その境界が曖昧になっていく日々の中で、碧は初めて「自分は何者なのか」と向き合っていく。
これは、男性だった一人の少年が少女になり、
いつか「戻れないから」ではなく、自らの意思で女性として生きていくことを選ぶまでの物語。