あらすじ
「魔法使いになりたい」
それが、前世の俺の夢だった。
子供の頃から魔法に憧れ、オカルト、魔術、瞑想、呼吸法、果ては異世界の魔法を扱うライトノベルやWeb小説まで読み漁った。
どうすれば魔法が使えるのか。
本当に魔力というものが存在するのなら、どうすれば引き出せるのか。
試せることは、何でも試した。
けれど、現実の世界に魔法はなかった。
周囲からは変わり者扱いされ、家族にも心配されながら、それでも俺は魔法を諦められなかった。
そして最後には――
「生まれ変わるしかない」
そんな馬鹿げた結論にたどり着き、俺は自ら命を投げ出した。
そして、目を覚ます。
そこは、魔法が本当に存在する世界だった。
しかも俺は、代々優秀な魔法使いを輩出してきた名門魔法貴族の家に生まれていた。
「魔法がある!」
前世で叶わなかった夢が、今度こそ叶う。
そう思った。
……ところが。
魔力を増やすためには、魔力を限界まで使えばいい。
そんな異世界小説の知識を真に受けた俺は、幼い頃からひたすら魔力を使い続けた。
そして――魔力を蓄える「器」を壊した。
魔力が漏れ続ける。
魔法はまともに使えない。
名門貴族の落ちこぼれ。
周囲からそう見られるようになった俺だったが、両親だけは変わらなかった。
「魔法が使えなくても、お前はお前だ」
その言葉に救われながらも、俺は諦めなかった。
前世では、魔法を諦められなかった。
今世では、魔法が存在する。
ならば――今度こそ、魔法使いになってやる。