あらすじ
『学校一可愛いバド部のエースは、今日も第二体育館にいる。』
全国大会出場者を毎年何人も輩出する、バドミントンの強豪校。
一般入試で入学した青木伊織は、入部早々その選手層の厚さを思い知らされ、Bチームから高校バドミントンを始めることになった。
悔しくないわけじゃない。
けれど、今の自分なら妥当だとも思う。
だったら、上手くなればいい。
バドミントンが好きな伊織は、第二体育館でのBチーム練習が終わったあとも、一人でコートに残って自主練習を続けていた。
そんなある日の放課後。
誰もいないはずの第二体育館に、一人の女子生徒がやってくる。
「……少し、場所借りてもいいですか?」
川口紗良。
スポーツ推薦で入学した一年生。
中学時代から全国の舞台を経験し、入学早々「学校で一番可愛い」と噂される、女子バドミントン部期待のエース候補。
所属はもちろんAチーム。
普段練習しているのは、全国レベルの選手たちが集まる第一体育館のはずだった。
それなのに――彼女は時々、練習を終えた第二体育館にやってくる。
最初は話さなかった。
一緒に打つこともなかった。
伊織は伊織のコートで。
紗良は紗良のコートで。
ただ同じ体育館で、それぞれシャトルを追っていただけだった。
AチームとBチーム。
スポーツ推薦と一般入学。
全国を知る少女と、全国には程遠い少年。
いる場所も、実力も、見えている景色も違う二人。
それでも放課後の第二体育館だけは、少しずつ二人にとって特別な場所になっていく。
これは、才能だけでは届かない場所を目指す少年と、才能があるからこそ期待を背負う少女の物語。
恋より先に、二人を繋いだのはバドミントンだった。
青春、競技、友情、挫折、そして恋。
強豪バドミントン部を舞台にした、二人の高校三年間が始まる。