あらすじ

「召喚された分際で報酬だと? 国を浄めて、さっさと帰れ」 王太子ゴーティエは、瘴気に沈んだ王国の地図を私に投げてよこした。国の三分の一が黒い。 私は芦田澄香、三十二歳。今朝まで、市役所の土地の係だった。土地を見ると、持ち主が誰かを確かめる癖がある。 神殿の古文書に、千年前の女神の法が一行だけ残っていた。〈浄めた土地は、浄めた者の物〉。瘴気の大陸で、土地の持ち主はそう決められた。王家は忘れ、神殿は覚えていた。 「承知しました。では、浄めた土地は全部いただきます」 「くれてやる。瘴気の土地など、いくらでもな」 白い光が王城から黒い土地を走り、光の止まった境に女神の紋が立った。赤い丸の中に、私の名。市役所で十年押してきた、認印の形だった。 翌朝、王城の旗が私の認印に変わっていた。王家は、私の店子になったのだ。 「地代は月末に。払えないなら、王城は明け渡していただきます」 村の地代は無し。王城の地代は銅貨一枚、ただし王太子殿下が月末にご自分の足で。神官長オレリアンだけが、最初の朝から地代を払いに来た。 召喚された女が、国の三分の一と王城の地主になる話。

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小説を読もう2026/09/03
  • 現在の作品「国を浄めて、さっさと帰れ」と言われた召喚聖女、浄めた土地は全部いただきます――国王陛下、地代は月末払いです