あらすじ
※この紹介文には、冒頭五話までに描写されない設定も含まれています。
「これは、いい逆恨みですね」
訴えても勝てないし、そもそも相手は悪くない。叶っても、一円の得もない。
それでも、許せない。
そんな「ピュアな逆恨み」だけを引き受ける店が、地方都市の住宅街にひっそりと存在する。
正当化できない感情に、実行権を与えてよいのか。
この店では、その答えを人間が判断せず、すべてを偶然に委ねている。
■あらすじ
地方都市の住宅街に店を構える手作り玩具の店「善人のおもちゃ箱」。その裏の顔は、不条理な逆恨みを代行する私立探偵である。
過去の依頼者からの紹介状がなければ、相談すら受け付けてもらえない。相談できても、最初の面接で「ピュアな逆恨み」と認められなければ、その場で終わり。相手は悪くないと認めたうえで、成就しても何の得もないとわかっていて、それでも許せない。そんな依頼だけが、「いい逆恨みですね」の一言とともに受理される。正当な恨みは、「それは、正しすぎます」と却下される。
審査を通ると見積もりが提示され、依頼料を支払う。だが、ここからが本当の関門。店主が依頼内容に合わせて毎回手作りする、勝率二分の一に調整されたAI玩具のゲームに挑まされるのだ。
勝てば逆恨みは実行される。負ければ何もしてもらえず、依頼料も戻らない。不条理な逆恨みを実行するかどうかは、不条理なルールで決める。それがこの店の理念である。
先代の師匠と密約を結んで店を受け継いだ根賀は、AIを仕込んだ玩具を駆使して、逆恨みを依頼した人々の「その後の人生」を、密かに追跡し続けている。
■主な登場人物
根賀善人(ねが・よしひと)男・二十七歳
・手作りハイテク玩具の店「善人のおもちゃ箱」の店主。裏稼業は逆恨みの代行を行う私立探偵
・時に冷徹な逆恨みを淡々と実行するが、素顔は真面目で温厚。子供たちからは「ヨッシー」と呼ばれて懐かれている
・周囲を笑わせようとことわざを混ぜたギャグを多発するものの、毎回滑る。口癖は「僕は根が善人ですから」
・かつて先代の骨董屋に自らの逆恨みを持ち込み、二分の一ゲームに負けた過去を持つ
・先代からAIエンジニアとしての腕を見込まれ、密約を結んで逆恨み屋を継承。骨董屋を玩具店に改装した
投川椎菜(とうかわ・しいな)女・二十三歳
・元彼に理由なく振られたことが呑み込めず、根賀の店に逆恨みの依頼を持ち込むが、二分の一ゲームに敗北
・当時無職だった椎菜は貯金のほぼ全額を失い、根賀に泣きついて店員として雇ってもらう
・内心では、自分が負けたゲームが不正操作されていたのではと疑いつつ、逆恨み屋の仕事が徐々に楽しくなっていく
・ヘマをすると根賀が「嘆かわしいな」とつぶやき、「私の姓は『なげかわ』ではなく『とうかわ』です」と返すのがお約束
・逆恨みが大きな影響を与えるケースが増えるにつれ、根賀がとんでもない裏の目的を持っているのではと疑い始める
幽遺庵深玄(ゆういあん・しんげん)男・六十八歳(※第五話終了時点では未登場)
・骨董屋「幽遺庵」を営んでいた逆恨み屋の先代。この名は俳号のようなもので、本名は不明。根賀からは「師匠」と呼ばれている
・逆恨みを「十三の型」に分類し、依頼者のその後の人生を追跡調査することで、人間の憎悪を管理し、世界平和に役立てたいと語っていた
・逆恨みの実現に必要な情報屋や闇の技術者への裏人脈を持ち、その人脈ごと根賀に継承した
・継承後は姿を消しており、現在の居場所は不明。必要な時だけ、根賀に一方的な連絡を入れてくる
■第5話終了時点での謎・未回収の伏線
・根賀がかつて先代に依頼した「逆恨み」の内容
・根賀が逆恨み屋を継承するために先代と交わした「密約」の中身
・根賀が、二分の一ゲームに使った玩具を棚に大切に飾り続ける理由
・椎菜が負けて以降、依頼者の連勝が続いていることの意味。そして椎菜の敗北に、細工はあったのか
・根賀が依頼者の追跡データを収集し、どこかへ送信している真意
・先代から受け継いだ裏人脈の、本当の破壊力と危険性
■第6話以降のストーリー展開
・依頼者の二分の一ゲームの連勝はさらに続き、椎菜は「自分だけが負けた」ことの意味を探ろうとする
・逆恨みの対象は個人から企業や社会の仕組みへと広がり、一件の逆恨みが世の中を動かすケースが現れ始める
・逆恨み屋の経営は軌道に乗る一方、社会的な混乱を生む案件も増え、根賀は「先代の真の目的」に不安を覚え始める
・先代の存在を知らない椎菜は、逆恨みの力を目の当たりにするにつれ、この人は革命でも起こすつもりなのかと、根賀という人間に徐々に惹かれていく