あらすじ
スキル史上主義の世界――。
その絶対的な理不尽の中で、「スキルnull(無能力)」の烙印を押された男がいた。
すべてを奪われ、生きる意味さえ見失った彼は、せめてもの救いを求め、人類未踏の領域である「深層ダンジョン」へと足を踏み入れる。目的は一つ、静かなる死。配信用のスマホを放り投げたまま、魔物の群れへ身を投げ出せば、今日こそすべてが終わるはずだった。
――しかし、狂気的なまでの日々の鍛錬で絞り込まれた肉体と、底知れぬ生存本能がそれを許さない。
本人はガチの遺書気分で死にに行っているのに、なぜか最強の魔物を素手で叩きのめし、絶望的な死地から生還してしまう。
その姿がリアルタイムで世界に配信されるや否や、コメント欄は完全にバグった。
「おい、あの配信者……初期装備のまま深層のボスをボコったぞ!?」
「スキルなしであの動きはヤバすぎんだろ、何者だ!?」
「違う、目を合わせるな……あれは『死』すら超越した求道者の眼だ……ッ!」
本人は本気で死にたいだけなのに、画面の向こうの視聴者たちは「人類の限界を超える神配信者」と勘違いし、莫大な投げ銭と狂信的な支持を浴びせていく。
死にたい男と、生かしたい視聴者たち。
噛み合わない絶望と熱狂の果てに、無能力の男が世界を狂わせていく――泥臭くも圧倒的なサバイバル・エンターテインメント、開幕。
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