あらすじ

世界には、口にしてはならない神がいる。始原神に弓を引き、千年の闘争を引き起こした反逆神。その神を讃える書も、讃える者も、すべて異端として焼かれてきた。 だが、その神にはかつて別の名があった。慈宵神。日の暮れるたびに世を巡り、疲れた者に眠りを、迷う魂に憩いを配った、優しい宵の神。狂われる前夜、神は最も敬虔な神官の家を訪れ、おのれの正気の御心を封じた珠を託した。誰にも知られてはならぬ。人にも、どの神にも。私が、私に戻る日まで、と。 以来、数千年あまり。一族は名を捨て、街に紛れ、宿を営みながら、珠と一冊の帳を当主から当主へ引き継いできた。表紙の名は、古い台帳にしか見えない。『宵の帳』。中身は、忘れられた神の本当の御姿と、どの神書にも載らなかった二十の教え、隠れて生きるための心得、そして代々の当主が書き継いだ記録である。

連載情報

ウェブ小説

配信言語
小説を読もう
小説を読もう2026/09/03
  • 現在の作品夜の帳