あらすじ
三十歳の外科医・三条寺蓮は、十年間にわたり多くの患者の命を救ってきた。
しかしある夜、交通事故に巻き込まれ、自らが患者となってしまう。
懸命な救命処置も届かず、蓮はその生涯を終えた――はずだった。
目を覚ました彼を待っていたのは、乳白色の光に包まれた不思議な空間と、女神アストレアだった。
そこで蓮は、治癒魔法が存在するものの、医学が未発達な異世界の存在を知らされる。
魔法で傷を癒すことはできても、複雑な内臓損傷や感染症、体内出血など、「治せるはずなのに治す術がない」病や怪我によって、多くの人々が命を落としている世界。
そんな世界で、外科医として培った知識と経験を役立ててほしい――。
女神から、人の身体の内部を見通す異能《解剖眼》を授かった蓮は、十五歳の少年レオン=ヴァンディアとして転生する。
辺境伯家の三男として新たな人生を始めたレオンは、さっそくこの世界の医療が抱える問題を目の当たりにする。
治癒魔法があっても救えなかった患者。
感染症によって失われる命。
内臓損傷や大量出血によって、手の施しようもなく死んでいく人々。
前世なら救えたはずの命が、医療技術の不足によって失われている。
その現実を知ったレオンは決意する。
「治せる命を、治す」
魔法だけに頼るのではなく、解剖学、外科手術、衛生管理、感染症対策――前世の医学知識をこの世界に持ち込み、誰も見たことのない「医術」を築き上げることを