あらすじ
病弱で何の役にも立たない――そう決めつけられて育ったロザリアは、厄介払い同然に国境侯エノクへ嫁がされる。ところが婚礼の席で、彼女は料理に混じったわずかな異臭を嗅ぎ取り、銀匙を使って暗殺を未然に防いだ。初めて能力を認められたうえ、長年飲まされてきた「薬」こそ不調の原因だと判明する。エノクは妻を危険な毒見役にはせず、療養の時間と研究室、そして口にする物を自分で選ぶ権利を渡した。香りの記憶と薬草知識を生かして安全な検査制度を作るうち、ロザリアは健康も居場所も取り戻していく。これは、食べることさえ怖かった令嬢が、信じ合う夫と同じ食卓で人生の味を選び直す回復の恋物語。