あらすじ
十九歳のとき、海と雪は「離れること」こそが愛の形だと信じた。
事故のあと、雪は最後の選択を海に委ねた。
「残って」と言ってくれれば、私は残る——
けれど海が口にしたのは、「アメリカへ行け」だった。
海が打った「アメリカで会おう」は、送信されないまま、十年が過ぎた。
十年後。
神楽モビリティの社長となった雪は、次世代AIバイク「S-WINGS」のテストライダー契約を通じて、もう一度、海を自分の世界へ引き戻す。
だがそのシステムには、雪も知らない古いデータが眠っていた。
KAI-00——十年の空白を越えて、今の海にまでつながるライダーデータ。
AIは海を理解すればするほど、こう判断するようになる。
「彼なら、必ず避けられる」
そして彼の能力と善意そのものが、システムにとって、本来自らが避けるべき危険まで彼に委ねていい理由へと変わっていく。
悪意は、どこにもない。
AIはデータを信じ、人間は「相手を理解している」という感覚を信じただけだ。
二人がようやく、もう二度とすれ違わないと決めたその時——
本来ならもう作動するはずのない、古い安全プログラムが、静かに目を覚ます。
時速300キロの先で、海は雪のもとへ帰れるのか。
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大人の悲恋 × AI × サスペンス/全13話・完結
「一人の人間を理解することは、その人の未来を代わりに決める権利を持つことなのか?」