あらすじ
ルドルフ・ジグラー、三十五歳、無職。
伝説の勇者フランの直系にして、指一本で
岩を砕く化け物じみた膂力の持ち主。
だが本人にやる気は一切ない。
朝は起きられず、昼は日陰を探し、
村では「ジグラーんとこの穀潰し」で通っている。
そんな彼のもとに、王家の使者が現れた。
「魔王討伐であります!」
断固拒否。しかし母に売られ、王命で縛られ、
気づけば王都の大広間で貴族たちに嘲笑されていた。
「その方に、何ができるのです?」
――一回だけな。腰が痛いから。
聖騎士団首席の剣を、指一本で粉砕。
かくして、史上もっともやる気のない勇者の旅が始まる。
なお、魔王城までは徒歩でおよそ八ヶ月。
予算の都合で馬車は出ない。
「帰りてえ」
「まだ一歩も進んでおりません!」
最強のおっさんと、生真面目すぎる近衛兵。
男二人、ダラダラ進む魔王討伐の旅路。