あらすじ

下宿先の部屋で、うだるような暑さに「もう、あついなあ!」と叫んだ俺の頭に、突然、謎の声が響いた。 「この世から、『あつい』ものを一つだけ消してあげる」 選べるのは、「暑い」「厚い」「熱い」「篤い」の四つ。 冗談半分に「暑い」を消してもらった俺は、涼しくなったことを喜ぶ。だが、ほどなくして世界は極端な寒さに包まれた。慌てて元に戻してもらうと、今度は四十度近い猛暑が襲い、エアコンまで異常をきたす。 次に俺が選んだのは「篤い」。 その直後、入院していた祖父が目を覚ました。 病気は軽くなった。けれど、祖父を見つめる家族の目からは、かつてあった深い情が消えていた。 言葉を一つ消すだけで、何かが変わる。 そして、それを元に戻せば、失ったものがすべて帰ってくるとは限らない。 「次は何を消しますか?」 何度も迫られる選択の果てに、俺が最後に選んだものとは――。 言葉の意味と、人が本当に大切にしているものを巡る、少し不思議で切ない短編。

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エブリスタ
エブリスタ2026/09/02
  • 現在の作品『あつい』を一つだけ消してあげる