あらすじ
夜守として登録された四人——金髪不良の千夜保、小柄な先輩・山村凌、秀才の鈴木航、癒しの魔術師・諸橋香澄。表向きはただの高校生だが、大阪の夜に潜む霊害を狩るチームだ。
ある夜、心斎橋筋で道が消えた。交差点は同じ角を繰り返し、GPSは渦を巻き、景色が複製される。ロアの名は『迷図』。一度迷った者から、正しい選択そのものを奪う都市伝説だった。
データが嘘をつき、光だけでは出口が見えない迷宮で、千夜は先頭を歩く。七歳の夜、母を失い広い屋敷で道を見失った記憶が、未練の核と共鳴する。殴る力ではなく、止まらず進む意志で空間に亀裂を入れ、香澄の光を道標に、鈴木の解析と山村の踏ん張りを繋ぐ。
核である動かないコンパスが、初めて一つの方角を指したとき、街は元の夜に戻る。現場に残った噂は、先頭を歩いた金髪の不良をこう呼んだ。
——不屈のナビゲーター。
迷っても止まらない。大切な奴らの前を歩くことが、不良の仮面の下にある仕事だと、千夜は知る。