あらすじ
二〇五九年。未来を確率で予測する「アストラ予測網」が、住居も仕事も診療の順番も決める街。
予測の誤差を監査する柏木紬は、駅の広告に表示された一行を見てしまう。
――天城朔との関係は、九十九・八パーセントの確率で別れる。
しかも、街路の観測ノードを直す朔の予測欄だけは、なぜか空白だった。
空白は故障ではない。未来の観測に同意しない人へ与えられる、制度上の「未観測」だという。
紬は公式端末を使わず、手書きの記録で朔を正しく残そうとする。朔は、自分を記録するほど紬の明日値が下がることを隠す。
科学が恋の結末を先に知っている街で、二人は予測を外すのではなく、知った上で誰を選ぶかを試していく。