あらすじ
七月の終わり、青凪市の外れにある古い印刷所。
自作小説の最終校正に追われる蓮のもとへ、幼馴染の葵が訪れる。
猛暑に包まれた作業場で、二人は四百ページを超える一冊の原稿と向き合うことになる。
紙の本に宿る重みや温もりを描いた物語を読み進めるうち、二人の記憶は子どもの頃に通った図書館での夏休みへと戻っていく。
暑い夏。
熱を帯びる印刷機。
積み重なった厚い紙。
そして、文字にはまだ書き切れない篤い想い。
四つの「あつさ」が重なったとき、一冊の本に込められていた本当の意味が見えてくる。
紙だからこそ残るもの。
言葉だからこそ伝えられるもの。
これは、本と幼馴染と、ひと夏の記憶をめぐる小さな物語。